Yes であり、No でもあります。日本語の本を読むのに国語辞典を先に暗記する人がいないのと同じように、英語の学習でも、単語を先に覚えようとするのは 「無駄な努力」 と言えるかもしれません。「本や新聞を読みながら、分からない語が出てきたら辞書に当たる」 というのが本来の言語の習得方法のはずです。
しかし、これは無限の言語を対象にした場合で、Voice of America の Special English のように、使用単語を制限した英語に接する場合は、その使用単語を事前に覚えておけば、聞き取りがよくなるのは当然です。下のアドレスから得られるword list は Special English 放送のかなりの部分をカバーします。つまり、1,500 語を事前に覚えておけば、VOA の Special English に限って言えば、リスニング力がすぐに格段に上達すると言えます。 http://www.manythings.org/voa/words.htm
l と r、v と b、th と s などの聞き分けは、どうしたらできるようになりますか。
確かにこうした発音の聴き取りについては、よく問題にされます。lice と rice、glass と grass、play と pray など、聞き間違えたり発音し間違えたりすると大変なことになる、と主張する人もいます。
しかしそうでしょうか。例えば、「アイイートライスエブリデイ」 という文が聞こえたとします。この場合は、I eat rice every day.に決まっています。I eat lice every day.と言う人は、そんなにはいないでしょう。(lice は louse 「シラミ」 の複数形)
glass と grass の場合でも、「アイブロウクアグラースディスモーニン」 と聞こえたら、I broke a glass this morning.です。grass の可能性はありません。
このように、聴き取りにくい発音は、文の中で、または前後の単語から判断することが大切です。1語1語で判断しようとしないことです。文の中で判断しようとする習慣が付けば、自然に発音の違いが判断できるようになってきます。
Voice of America(略称 VOA)) は、その名のとおり、「アメリカの声」 を明るくリラックスした雰囲気のうちに伝えてくれるラジオ番組で、アメリカのワシントンDCから全世界に向けて放送されています。アメリカの国営ラジオ放送ですから、その英語の内容と質は、厳密に吟味され選定された最高のものです。また、アナウンサーたちも特別に訓練を受けたスペシャリストばかりです。
Voice of America の Special English は何が特別なのですか。
VOA には、通常の英語放送番組のほかに、語彙レベルとスピードを抑えた、やさしい Special English による番組があります。この番組は、使用される単語のレベルを 1,500 語程度に制限してあり、スピードも1分間に 100 語程度に抑えてあります。ふつうのネイティブ・スピーカーの人たちが話すスピードは1分間に 150 語くらいですから、ずいぶんゆっくりと聞こえ、聞き取りやすいのです。
初心者にとっては、あまり高度な単語ばかり使われても困りますし、速いスピードで話されても聞き取れません。スピードと語彙は英語学習の二大関門ですから、VOA の Special English は、これを一挙に解消してくれるというわけです。
Special English は、話すのがゆっくりしているだけではありません。1つのフレーズ (意味を成す語句のかたまりのこと) は、ことさらに遅く読んでいるのではなく、ふつうのスピードよりほんの少し遅い程度です。そして、フレーズとフレーズの間のポーズの空きに工夫が凝らされていて、ゆっくり分かりやすく聞こえるのです。
市販の教材のなかには、フレーズも単語もゆっくり読んでいるものがときどき見受けられますが、こうしてしまうと、今度は思考のスピードと聞こえてくる英文の間にズレが生じ始め、音声そのものは聞き取れても意味が理解できないという現象が起きてしまいます。
Voice of America の Special English は、このように、非英語圏の人たちに分かりやすいように制作された非常にいたれりつくせりの番組ですから、もともと英語教育のために作られた番組ではありませんが、私たち外国人の英語学習のためには最適の教材となっているのです。