カリフォルニアの青い空 ― 25.夜警に駆り出される

 ビルのガールフレンドの引っ越しの手伝いでアナハイムに行ってからさらに1か月くらい経った頃、今度はもっとやっかいなことを頼まれた。

 ビルの友人が家を買って引っ越したが、どうも不審者がやってきて、2度ほど break-in されたらしい。大きな被害はなかったようだが、押し入りが入ったのだ。

 その友人がビルに、ちょっと来て夜警(見張り)をほしいと言ってきた。

 夜警に行くことになった。私も駆り出された。

 家を買った友人はライフル銃を買った。彼は、そのライフルを持って自分の家にいて見張ることになり、ビルともう1人の友人と私がビルの車の中で、遠くからその家を見張ることになった。

 車に乗ってその友人の家に向かう車中で、「もしその不審者が撃ってきたら車のシートの下に隠れろ」 という話が出た。

 「冗談じゃない! そんな話は聞いてないよ!」 という気持ちだったが、「イヤだから帰る」 というのも弱虫のような感じで言えなかった。そもそも帰る手段もなかったし。

 ビルの友人が買った家は、砂漠の中にあるような感じで、まわりには数件の家しかなかった。ビルと私ともう1人の友人は、家を買った友人の家から100メートルほど離れたところに車を停め、見守った。

 砂漠とは言え、11月に入った夜は寒かった。

 午後10時頃から朝の3時頃まで車の中で見守ったが、その夜は何も起こらず、引き上げることになった。

 その後、不審者の話が出ることはなく、また行こうという話にはならなかったが、なんとも不思議な夜を過ごしたものでもあった。

 もし不審者が来て、銃撃戦になったらどうなっていただろうと考えると、今でも身震いがする。

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