カリフォルニアの青い空 ― 35.another のもう1つの意味

 ドーナツ屋でレジの係もやらされるようになり、そのバイトで覚えた印象的なことがある。

 小さいパックの牛乳も売っていた。ある女性が牛乳パックを注文したので、冷蔵庫から1個取り出して渡したところ、Give me anotherone. と言った。

 私はそれまで、anotherの意味としては 「別の、別の種類の」 しか理解していなかった。それで、We have only this kind. と言ったか、This is the only kind we have. のように言ったのか覚えていないが、とにかく 「牛乳はこの種類しかありません」 というつもりで答えた。

 するとその女性は、Give me one more. と言い直してくれた。こういう人は頭がよい。

 何年か前にアメリカに行ったとき、電話に出た女性の can の発音が can’t にも聞こえたので、問い返したところ、その女性は You are able to. と言い換えてくれた。頭のよい人は、こういう言い換えができる。

 またあるとき、空港からレンタカー会社のバスに乗って車を借りに行くとき、バスの中で係の女性が私に何か言った。よく聞き取れなかったので、聞き直した。すると、その女性は前とまったく同じフレーズを繰り返した。
 それでも分からなかったので、もう一度聞き直した。すると、またまったく同じフレーズを繰り返した。またしても理解できなかった。

 すると、近くにいた年配の男性が言い換えて私に伝えてくれ、理解できた。

 このとき、私は自分のリスニング力を棚に上げ、「この女性は頭が悪い」と結論づけた。

 閑話休題 (それはさておき)。

 その日のバイトが終わり、学校に行き「今朝こんなことがあった」 と先生に話したところ、anotherに 「もう1つの」 という意味があると教えてくれた。

 こういう体験を通じて覚えた英語は忘れない。

 あまり気前のよい店主ではなかったが、ときどき、day old のドーナツを箱に詰めてくれ、「赤井田くん、これを学校に持っていって、ほかの学生さんたちに食べさせてやって」と渡されることがあった。

 学校に着いて箱を開けると、留学生たちが群がって取り合い、一瞬のうちになくなったのだった。

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