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TOEIC® L&R TEST 出題形式と解き方

株式会社 ナラボー・プレス著

 TOEIC は,1979 年 12 月に日本でスタートした英語検定試験ですが,現在では,「グローバルスタンダードとして世界 50 か国以上で実施されており,その受験者は 2004 年度に 143 万人に達する」[注] ほど,世界じゅうで認知され,利用されているテストです。日本では,大企業・有名企業・大学のほとんどが採用し,書店には,TOEIC 対策本が溢れています。また,TOEIC 対策をうたったホームページも数多く見られます。

 こうしたなか,「受験テクニック」 とか 「ウラ業」 と称して受験の際のコツを紹介している場合もありますし,いろいろなサイトの掲示板等で,「TOEIC は,英語力が伴わなくても受験テクニックでスコアが上がるテストだ」 といったような投稿が見られたりしますが,TOEIC は出題形式は一定で変わることがありませんし,すべての英文は毎回書き下ろしですから,いわゆる 「受験テク」 や 「ヤマ掛け」 で,実力以上のスコアが出ることはありません。一部の人たちが 「受験テク」 と称しているのは,このページで解説していることだろうと思います。しかし,このページで紹介している 「受験のコツ」 は,言わば,私たちが国語の試験を受ける時にも無意識に行っていることで,決して 「受験テク」 などではないのです。ごくふつうの受験態度と言えるでしょう。ただ,こうしたコツを知らないまま受験したり学習を続けたりすると,実力を最大限スコアに反映できなかったり無駄な学習を続けてしまったりということはあるかもしれません。

 こうした 「コツ」 は英語学習を進める上でも,大きなヒントになり得ます。言語能力習得のツールとなるはずです。お役に立てれば幸いです。なお,出題パターン別の例題やその解き方のコツ,考え方などは,機会を見て追加していこうと考えています。

[注]
『TOEIC® 活用実態報告』 (第 13 回,財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 TOEIC運営委員会 発行,平成17年7月,「まえがき」より。

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Part 1 Photographs
「写真描写問題」

 1枚の写真を見ながらその写真についての4つの英文を聴き,その中から写真を正しく描写している文を選ぶ問題です。実際の TOEIC には例題がついています。
  Part 1 では,視覚と聴覚を使い,英語を聴いて瞬時に判断する能力が必要とされます。また,このパートは TOEIC のすべてのパートの中で最も正答率の高い問題ですから,確実に得点できるようにトレーニングしておく必要があるでしょう。

出題数

6 問

出題パターン

 出題パターンを大きく分けると,次の2つになります。

  1. 人物の動作を描写するもの
  2. 物体の位置関係や風景を描写するもの

 写真の種類と出題パターンはこうなりますが,選択肢の内容としては,

  1. 状況判断が紛らわしくて間違えやすいもの
  2. 発音の似た単語が使われているために間違えやすいもの

などがあります。

解き方のコツ

 TOEIC の Part 1「写真描写問題」で確実に正解の文を選ぶポイントは,英文が流れる前に写真を見て英語を連想しておくことです。試験中は次の点に注意しながら解答するように心がけましょう。

  1. まず写真全体を眺め,写真のパターンをつかむ。
  2. 写真のパターンをつかんだら,出題のパターンに合わせて英語を連想する。
  3. 写真を描写するキーワードを連想する。
  4. 選択肢を聴きながら,パターンとキーワードを1つずつ自分の連想と比べながら判断していく。

注意点

 Part 1 で使われる英文は,中学校で学習するような,読んですぐに理解できるような比較的やさしい英文ばかりです。これが,音声のみで流れるとむずかしくなります。確実に正解するために,次の点に注意しながら,ミスや時間のロスを避けましょう。

  1. 単語1つ1つにとらわれず,全体の内容をつかむようにする。
  2. 英文を決して日本語に訳そうとしないこと。

 TOEIC に向けた学習の場合も,こうした点に留意しながら進めていきましょう。

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Part 2 Question-Response
「応答問題」

 まず質問文が流れ,その質問文に対して3つの応答文が流れます。その3つの応答文の中から正しいものを選ぶ問題です。質問文も応答文もテストブックには書かれていないので,耳だけが頼りです。このパートにも例題がついています。

 Part 2 では,ヒントとなる視覚的な要素が何もありません。したがって,純粋にリスニング能力が試されることになります。それだけに,英語コミュニケーション能力に必要なあらゆる要素をトレーニングで習得しておく必要があると言えるでしょう。

出題数

25 問

出題パターン

 このパートの出題パターンを大きく分けると,次のようになります。

  1. 状況の紛らわしい問題
  2. 発音の紛らわしい語が使われている問題
  3. 特殊表現が使われている問題

 もちろん,個々の問題がはっきりとこのように分かれているわけではありません。こうした要素が散りばめられているということです。いつどんな問題が出題されても慌てることのないように,トレーニングをしっかり積んでおきましょう。

 特に,視覚に頼る要素がないこのパートでは,まず,質問文を聴いたら,瞬時にどういう状況で会話が成されようとしているのかを判断することがポイントです。この「状況判断力」が大きなポイントとなります。

解き方のコツ

 いくつもある解き方のコツの中から,特に次の3点には留意しておきましょう。

  1. 質問文の形式(普通疑問文や Wh 疑問文など)を基に状況を判断する。
  2. 状況が分かったら応答者を予測する。
  3. 応答者を予測したら,考えられる応答を予測してみる

注意点

 TOEIC で使われている英語は,英米のネイティブ・スピーカーの人たちが日常ごくふつうに使っている表現が対象となっています。したがって,いわゆる「学校英語」の公式がそのまま当てはまらないことも多いため,解答を選ぶ際には注意が必要です

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Part 3 Conversations 「会話問題」

 2人または3人の会話を聴き,その会話についての質問文をテストブックで読んで,4つの選択肢の中から正解を選ぶ問題です。会話1つにつき質問は3題です。このパートには例題はついていません。
 会話問題は,友人間,夫婦,会社の同僚同士,上司と部下、取引先との会話など,その題材は非常に多岐で広範囲にわたります。また,テストブックに書かれた図表を会話の内容と関連付ける設問も出されます。したがって,あらゆる場面に対応できる柔軟な理解力を必要とします。
 出題形式は,会話文を聴いてその内容についての質問や会話中の発言の意図を問う質問を読んで答える問題です。Part 2と違い,質問文と答えの選択肢,図表の内容を読む作業が増えます。質問文は音声としても流れますが、選択肢と図表の内容は読まれません。つまり,リスニング力に加えてリーディング力も要求されることになるのです。

出題数

39 問

出題パターン

 会話の内容を問う問題ですが,その設問の内容は,次のようになります。質問文とその選択肢を前もって読んでおけば,どういう姿勢で聴けばよいのかが分かります。

  1. 状況さえつかめれば解ける質問
    会話の状況(場所,内容,時間,だれとだれの会話かなど)さえ分かれば,細かいところは聴き取れなくても解ける質問があります。
  2. 細かい部分を聴き取る必要がある質問
    人名や地名,時間,数などを尋ねている質問では,細かい部分に注意して聴かないと答えられないことになってしまいます。
  3. 会話の次の内容を予測する質問
    会話の内容を理解した上で,その次の内容を推測して答えさせる質問があります。会話の流れを臨機応変に軌道修正できる能力が求められます。
  4. 発言の意図を判断する質問
    ひと言だけでは色々な意味合いに取れてしまう表現を,会話の流れから推測して意図を答えさせる質問があります。
  5. 図表と会話を関連付けて答える質問
    会話のどの部分の内容が図表と関連しているのか聞き分ける必要があります。

解き方のコツ

 会話問題では,とにかく会話が聞こえる前に質問文と選択肢を(あるいは質問文だけでも)読んでおくことが最大のポイントです。問題に関係のある部分だけを聴き,関係のない部分は,分からない単語が出ても気にしないことも,聴き方のひとつのコツと言えるでしょう。

注意点

 会話問題は質問文と選択肢を速く読まなければならないので,リーディング力も要求されます。速読のトレーニングもしておく必要があります。

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Part 4 Talks 「説明文問題」

 20~30秒くらいの説明文を聴いて,その説明文の内容や設問文中の発言の意図についての質問を読み(質問文は音声でも流れる),4つの選択肢の中から正解を選ぶ問題です。テストブックに書かれた図表を説明文の内容と関連付ける設問も出されます。Part 3 と違って,説明文を1人が通して話します。Part 3と同じように、1つの説明文につき質問は3問です。例題はついていません。
 会話問題との違い,解き方のコツ,注意点について見ていきましょう。

出題数

30 問

出題パターン

 説明文の種類としては,コマーシャル,乗り物の中やホテルでのアナウンス,天気予報,ニュース,演説,演説の前の紹介,大勢を前にした会議での導入などです。この中で,次のような設問が出題されます。

  1. 場所や大まかな時間や話の概要など,全体的なことに関する質問
  2. 人の行動や時間,人数,人名・地名など,細かい部分の質問
  3. 行動の予定や今後の動向など,説明文の次の内容を予測する質問
  4. 発言の意図を問う質問
  5. 説明文と図表の内容を関連付けて問う質問

解き方のコツ

 会話文問題と同じように、向こう3問の質問文と選択肢を読んでおきましょう。

説明文の前のコメントをしっかり押さえる

 説明文はいきなり始まるのではなく,始まる前に次のようなコメントがあります。

Questions 71 through 73 refer to the following weather report.

 このコメントを押さえれば内容が予測でき,聴くペースがつかみやすくなります。例えばこの場合、天気概況の放送が流れることが予測できます

注意点

 説明文問題はリスニング問題の範疇ですが,上で述べたように質問文と選択肢や図表の内容を速く読まなければなりませんので,リーディング力も要求されます。速読のトレーニングもしておきましょう。

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Part 5 Incomplete Sentences
「短文穴埋め問題」

 文の一部が空所になっており,その空所に当てはまる語や語句を4つの選択肢の中から選ぶ問題で,入試などではおなじみの形式です。選択肢をヒントにしながら解くことがポイントです。全部で 40 問あります。リーディング・セクションは自分で時間配分ができるので余裕がありそうに思えますが,Part 7の「読解問題」のことも考えると,思ったほど時間はありません。Part 5 では1問当たり 30 秒を目安に解答するように心がけましょう。

出題数

30 問

出題パターン

 出題パターンを大きく分けると,次の4つに分けられます。

  1. 語法から正解を考える問題
  2. 品詞から語形を考えて答える問題
  3. 文法から考えて答える問題
  4. 慣用句から考えて答える問題

問題のパターンとしてはこうなりますが, TOEIC の問題は,文の内容によって単語の意味が限定されますから,文章の意味を考えてから答えるのは言うまでもありません。

解き方のコツ

 TOEIC の Part 5「短文穴埋め問題」で確実に正解を選ぶポイントは,次のとおり。

  1. まず文を読み,すぐに意味が取れるかどうかを見る。
  2. 瞬時に意味が取れなければ,文の構成を考える。
  3. 文の構成から意味が取れたら,文法的に空所の役割を考える。
  4. 空所に正解と思われる選択肢を入れ,文全体を読んで意味を確かめる。

 こうして,確信が持てる正解を引き出していきます。

注意点

 選択肢が与えられていますから,必ずこれをヒントにしながら文を読むこと。選択肢を日本語に訳そうとしたり,選択肢のみで考えようとすると間違えます。

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Part 6 Text Completion
「長文穴埋め問題」

 短い手紙やメール、説明文、メモなどに空所があり、その空所に当てはまる語や語句,または文を4つの選択肢から選ぶ形式。出題自体の形式はPart 5 「短文穴埋め問題」と同じ。1つの文章につき質問、つまり空所は4つです。

出題数

16 問(4か所の空所が入った文章が4種類。)

出題パターン

 出題パターンや問われる質問の内容は以下のPart5 のもの と大きく変わりません。

  1. 語法から正解を考える問題
  2. 品詞や語形を考えて答える問題
  3. 文法から考えて答える問題
  4. 慣用句から考えて答える問題

解き方のコツ

 Part 6 「長文穴埋め問題」 で確実に正解を引き出すポイントは,ほぼ Part 5 の場合と同じで,次のようになります。

  1. まず文を読み,すぐに意味が取れるかどうかを見る。
  2. 瞬時に意味が取れなければ,文の構成を考える。
  3. 文の構成から意味が取れたら、文法的に読んで意味を確かめる。
  4. 空所に正解と思われる選択肢を入れ、空所のあるセンテンスだけでなく、文章全体の内容も踏まえて意味を確かめる。

注意点

 形式自体は Part 5 と同じですが、空所を含む文だけでなく、文章全体の内容から空所の語や語句,または文を判断する必要があります。

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Part 7 Reading Comprehension
「読解問題」

 手紙,案内文,広告,オンラインチャットなど,日常よく目にするさまざまな英文を読んで,その内容についての質問に答える形式です。入試などの長文読解問題とほぼ同じですが, TOEIC に特徴的なのは,表やグラフも出題の対象になることです。日本の入試問題でよく見られるような,文中の語句の意味を尋ねたり,「下線部 it や that は何を指しているか」 といったような質問は出ません。

出題数

54 問

出題パターン

 出題パターンを大きく分けると,次の3つに分けられます。

  1. 長文読解タイプのもの
  2. 図表やグラフを読んで答えるもの
  3. それらを複合したもの(ダブル・パッセージ/トリプル・パッセージ)

 選択肢の内容としては,全体の主旨を答えさせるもの,細かい内容を問うもの,ちょっとした計算が必要なもの,次の展開を考えさせるものなどがあります。また、1つの文章や図表・グラフを読んで解答する設問が29問、2つまたは3つの文章や図表・グラフを読んで解答する設問が25問あります。

解き方のコツ

 確実に正解を引き出していくポイントを箇条書きにすると,次のようになります。

  1. 文を読み始めたら,どういう内容になるか,大まかな予測を立てる。
  2. 途中でよく分からなくなったら,文頭まで戻って読み直す。
    ※これは一見むだな遠回りに思えますが,逆に理解が早いのです。
  3. 選択肢を参考にしながら読む。
  4. 本文中の表現が選択肢ではどのようになっているかを見ながら読む。

注意点

 途中で分からない単語に出会っても,どういう意味かを思い出そうとしないこと。少しくらい分からない語があっても,文全体から内容を推測するように努めることがポイントです。

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