英語能力上達のいちばんの要因

 「あの人は英語の上達が早い」 というようなことを聞きます。このように、ほかの人より言語習得のスピードが速くなるのは、あるいは速く思えるのは、どうした要因が関係しているのでしょうか。

 一般的に、言語習得の要因として次のことが考えられるとされています。

 1. 言語適性 (language aptitude)
 2. 知性 (intelligence)
 3. 教授法 (instruction system)
 4. 学習意欲 (perseverance)

 まず、1番目の 「言語適性」 です。赤ちゃんのとき 「口が早い」 とか 「言葉が遅い」 という表現で、言葉を覚える時期が早いか遅いかを話題にしますね。子供の言語学習の初期の場合には、このように、言語適性が学習速度に影響することがあるようです。

 しかし、私たちの自国語で考えてみても分かるように、ある程度の年齢になると、つまり理性が備わってくる時期(小学校の高学年以上)になると、誰でも自国語をふつうに話せますから、言語適性も言語習得の大きな要因にはならないと言えます。
 一説には、言語適性は、高い人と低い人を比較しても1対1.3くらいなのだそうです。つまり、「自分は言語習得には向いていない」とあきらめるのはよくないということです。逆に言うと、英語がなかなか上達しないのを「オレは語学には向いていない」と逃げの口実には使えないということなのです。

 2番の 「知性」 ですが、中学校や高校では、いわゆる 「頭のよい子」 が、ほかの学科も英語もできることが多いですね。ですから、英語学習は頭のいい人には有利で、そうでない人には不利かと思えてしまいますが、「頭のよい人が英語もできる」 のは、学校での英語教育が「知識詰め込み型」だからです。ですから、学校英語では、英語の成績に 「知性」 が大きく作用します。

 しかし、TOEIC のいろいろなデータによると、いわゆる有名大学を出た人もそうではない学校を出た人も、英語力の伸びには大差がないことが分かっています。つまり、「知性」は作用していないのです。

 アメリカなどの外国語教育では、中学や高校レベルでも、知性が言語能力の伸びに影響していないことが報告されています。

 3番目の「教授法」についてですが、過去に「ナントカ・メソッド」とか「~方式」といったものが次々と生まれ、「画期的なメソッド」と謳われてきました。ですが、そのメソッドは、ほぼすべてと言ってもよいかと思いますが、消えていきました。

 本当に効果的で万人に通用するメソッドであれば、今でも残っており、万人が利用しているはずでしょう。

 つまり、3番目の 「教授法」 も言語習得の要因としてあまり作用していないということになりますね。英語学習に 「即効薬」 や 「王道」 といったメソッドは存在しないのです。

 そして、私が何を述べたかったのかと言いますと、最後の4番目「学習意欲」だけが英語能力を伸ばすのです。 「英語ができるようになりたい」 という意欲をいかに持続させるか、これがいちばんのポイントです。

 よく 「あの先生は教え方がうまい」 と言いますね。こう聞くと、「ほら、教授法 (メソッド) が作用しているんじゃないか」 と思えてしまいますが、実は、教え方のうまい先生は、生徒たちの学習意欲をいかに停滞・衰退・終息させないかに苦心されているのです。

 ま、これを「教授法」と言ってしまえばそれまでですけど。

 何かにつけ、「あ、やっぱり英語を勉強しよう」と思える環境作りをしてください。

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