木々の芽吹きを見ると思い出すこと

 昔々、Amtrak という列車でアメリカ一周の一人旅をした。29泊30日の旅だった。

 ボストンより北には Amtrak の列車が通っていなかったので、グレイハウンドバスで、メイン州ポートランドという街に行った。
 5月半ばのことである。
 1泊して次の日、海岸まで歩いて大西洋を見たあと、午後、ポートランドからボストンまでバスで戻った。
 南下するバスの車窓から見る木々の変化が印象的だった。

 ポートランドを出るときには、木々には何も芽が出ていなく、枯れ木みたいだった。
 ちょっとだけうつらうつらして目を覚ますと、車窓から見える木の芽がいくらか膨らんできていた。

 そして、またちょっとうつらうつらして目を覚ますと、木の芽が大きく伸びて葉が開く感じになっているのが見えた。

 そして、ボストンに着くころには、木々はすべて青葉になっていたのである。

 うたた寝をしながら3時間のバス旅だったが、半月ほどの時間が流れたような気分を味わったのであった。

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