カリフォルニアの青い空 ― 29.いちばん割のよかったアルバイト

 私がアメリカで住み始めた砂漠の地には裕福な家が多く、広い庭一面に芝生が植わっている家がたくさんある。

 私は芝生の種類には詳しくないが、こうした家庭の庭の芝生は、夏のあいだは元気よく青々としているが、秋になると枯れてくる。ただ、根は生きており、春になるとまた芽を吹いて緑色になる。
 つまり、秋から春まで枯れた色の芝生を庭に見ることになる。

 秋から春までも通して緑色の芝生を見るためには、庭にあることを施さなければならない。

 夏の芝生を地面すれすれか、土を少し削るくらいに刈り込み、夏のあいだの芝生を、根だけ残して切る。そして、冬のあいだだけ育つ芝生の種を蒔くのである。そうすれば、冬のあいだも青々とした芝生が眺められるというわけ。

 この時期になると(秋が深まると)、こうした作業の需要が高まり、ガーデナー (庭師) の仕事が増える。

 鹿児島出身の中木原さんという人が園芸業(ナースリー)をやっており、その人やガーデナーをバイトでやっている先輩の紹介で、ある歯科医の家の芝生を、上で述べたような状態にするアルバイトが回ってきた。

 その作業は次のようになる。

 まず、芝刈り機で、庭の芝生を地面ぎりぎりに刈る。そして、そこに冬用の芝生の種を蒔き、肥料と土をかぶせる。

 以前の記事で書いた、福岡からやって来た古賀くんと私の2人で、このアルバイトを請けた。確か、150ドル(当時のレートで4万5千円)だった。
 芝刈り機は、先輩に無料で借りた。そして、種と肥料、土を、たぶん30ドルくらいで買ったので、2人の手取り(作業料)は約120ドルになったわけである。

 作業には2時間ほどかかった。もらった150ドルから費用の30ドルを引いた120ドルを古賀くんと2人で分けたわけで、1人の手取りが60ドルになった。

 当時のレートは1ドルが300円だったから、60ドルは1万8千円になる。2時間で1万8千円だから、時給は9千円だ。
 アメリカに行く前にやったシロアリ駆除のバイトの時給が550円だったから、非常に率のよいバイトだったのである。

 先輩や日系人たちに、アルバイトで小切手をもらってはいけない、現金でもらいなさいと言われていたので、このバイト主の歯科医に現金を要求したけど、「現金はない」と言って、私たちに150ドルの小切手を書いてくれた。

 それで、もらったその足で銀行に駆け込んで、現金にしてもらった。小切手を持ち歩いていて、もし移民局のパトロールカーに検問を受けて小切手が見つかったりすると大変なことになるのだ。

 アメリカにいたあいだに、こんな率のよいバイトは、これっきりだった。

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