TOEICはなぜできた? ― テストにはそれぞれの目的がある。

 胃の状態を調べるにはそのための検査があります。胃が痛いのに心臓外科に検査に行く人はいません。心臓の検査をして、胃の状態は判断できません。

 「TOEIC にはビジネスシーンばかりだから、学生にはとっつきにくい。いっぽう、TOEFL はアメリカの知識や大学の授業ばかりが出てくるから、留学の予定のない日本人には馴染まない。両方を足したようなテストがあるとよいのに」という意見を聞くこともあります。

 また、テストを比較して非難したりする人がありますが、テストの比較は意味がありません。「TOEIC にはキャンパスの設定が少ないからよくない」とか「TOEFL にはキャンパスの設定が多すぎる」という意見も意味のないことです。

 しかし、テストにはそれぞれ、その目的というものがあります。TOEIC にはある目的があってあの形式と出題内容になっているわけですし、TOEFL もしかりです。

 TOEIC は英語の実用レベル(英語を使ってビジネスをできるレベル)が測定できればよしとしようという観点でできたテストです。それ以上の能力を測る必要はないのです。ですから、990点の人には、レベル3(実用レベル)にようやく達した人もいれば、ネイティブ・スピーカーに限りなく近い人もいるでしょう。

 こうしたことから、TOEIC はそうした人たちの差が測れないテストだからよくないとか言うのは、ちょっと的外れな考え方です。そういうテストなのですから。

 アメリカの大学や大学院に行けるかどうか、入学後やっていけるかどうかを見るのは、TOEIC では測れません。そのためのテストには TOEFLがあるというわけです。

 テストにはそれぞれの役割がありますから、そのテストだけを取り上げて、「易しいからダメ」、「むずかしいからダメ」というのは変です。

TOEIC はまだ自分にはむずかしい。もっと勉強してから受ける」という意見を聞くこともあります。

 しかし、TOEIC は、その時点での英語力を測定するものですから、本来、「やさしい」とか「むずかしい」という基準で判断するテストではありません。

 テストですから、たぶん「満点を取るにはむずかしい、いいスコアを出すには自分の英語力あはまだだ」という意識があるのでしょうね。

 ただ、TOEIC も「前回に比べてやさしかった、むずかしかった」ということはあります。かなり念入りに作られているテストではありますが、当然、回によっては難度が変わることはあります。

 それでも、TOEIC にはイクエイティングという仕組みがありますから、回によって難度が違ってもスコアは大きく違わないようになっています。

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