TOEIC の正しい使い方。

解答速報のこと

 TOEIC が終わると、インターネットのいろいろな掲示板やツイッターなどが「解答速報」 なるもので賑わいます。ですが、私は TOEIC の実際のテスト問題の答えを知ることにはあまり意味がないように思います。

 TOEIC は英語能力判定テスト ( proficiency test といいます) であって、英語能力診断テスト ( diagnostic test ) ではありません。今どういう状態の英語能力であるかを測定するテストであり、どういうところが強いのかあるいは弱いのかを調べるテストではないのです。

 そういうふうに問題ができてはいないのです。
 簡単な問題は正解でき、むずかしい問題はまちがえるというだけです。

 つまり、パート1の写真問題は簡単だからあまり英語のできない人も正解し、パート3やパート4はむずかしいから、英語能力がまだ低い人はまちがえる人が多いというだけです。それだけです。

 個人によって特徴的な傾向が見られることもないわけです。
 自分の弱点を調べるのであれば、ほかのテストや問題に当たるほうがよさそうです。

 ですから、実施されたばかりの TOEIC に出た個々の問題の正誤に一喜一憂することには意味がないと思います。スコアが送られてきたときに、全体スコアと、リスニングとリーディングのバランスに注意するだけでよいと思います。このバランスはあまり重視されていないようですが、実はとても大切なことです。

 それから、スコアのことですが、前回のテストよりスコアが上がったときは素直に喜べばよいでしょう。これは実際に英語力が上がったからです。もちろん、測定誤差のことは考慮に入れる必要はありますが。測定誤差については、TOEIC のサイトを検索して見てください。

 反対に前回よりスコアが下がったときは、心配したりせず、無視すればよいかと思います。単にそのときに体調が悪かったとか、受験会場の環境がよくなかったとかいうこともあるでしょう。
 もちろん、長い間英語学習から離れていて英語力がはっきりと落ちれば別ですが、ふつうに英語の学習を続けていて、英語力が下がることはふつう考えられませんから、スコアが下がったからと言って英語力が落ちたと考えるのは早計です。

スコアの考え方

 TOEIC の満点 (最高点) は990点です。そして990点を獲得した日本人がネイティブ・スピーカーと同じ英語能力のレベルの持ち主だと思っている人もいるようですが、これは大きな誤解です。

FSIスケール(LPIレベル)という測定基準があります。これは、アメリカのForeign Service Institute という組織が決めた英語能力レベルのことです。

 FSI スケールには、0, 0+, 1, 1+ , 2, 2+, 3, 3+, 4, 4+, 5 と11段階あります。

 そして、TOEIC 990 点は、真ん中あたりのレベル3くらいまでを測定するテストです。レベル3というのは、英語を母語としない人が英語を使って支障なくビジネスが遂行できるであろう英語能力とされ、「実用レベル」 と言われます。

 TOEIC は英語の実用レベルが測定できればよしとしようという観点でできたテストです。それ以上の能力を測る必要はないのです。ですから、990点の人には、レベル3にようやく達した人もいれば、ネイティブ・スピーカーに限りなく近い人もいるでしょう。

 こうしたことから、TOEIC はそうした人たちの差が測れないテストだからよくないとか、欠点、弱点とかいうのは、ちょっと的外れな考え方です。そういうテストなんです。

 アメリカの大学や大学院に行けるかどうか、入学後やっていけるかどうかを見るのは、TOEIC では測れません。そのためのテストには TOEFL があるというわけです。

 テストにはそれぞれの役割がありますから、そのテストだけを取り上げて、「易しいからダメ」、「むずかしいからダメ」というのは変です。

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