TOEICの満点(990点)の英語力は、どんなレベル? ネイティブ並み? それとも?

 TOEIC の満点は990点です。最高点です。そして、日本で最も有名なテストの1つである TOEIC で満点ということは、「その英語力はネイティブ並みだろう」と思っている人も多いかもしれませんね。

TOEICが求める英語力は?

 英語のテストを作るとき、制作者側では「そのテストではどのレベルの英語力を測定するか」ということは、当然設定します。これは制作者側の最も重要なポイントです。

 1970年代の初めに TOEIC が考案されたとき、「国際的な業務を支障なく遂行できる英語学習の完成レベルが測定できれば、それ以上の英語力はOJT(on-the-job training)に任せる」という考えで目標英語力を設定しました。

 そして、そのレベルは、下に示したFSIスケールではレベル2+ないしはレベル3で大丈夫だろうということでした。

 FSI というのは、アメリカの国務省所属の国際研究機関である Foreign Service Institute のことです。この国際研究機関は、外交官養成所としてアメリカ人外交官の卵に世界中のいろいろな言語を集中研修で教えていることでも有名です。
 この研究機関の言語能力評価基準である FSI スケールは世界中で採用されているものです。

TOEICスコアで表現できる上限は、レベル3ないし3+。

 上の FSI スケールは、レベル5の「基本的に外国人にはいない」というコメントからも判断できるように、この英語力は、ネイティブ・スピーカーでも高度な教育を受けた人のレベルを指しています。

 ちなみに、アメリカのニクソン政権、フォード政権時の大統領補佐官、国務長官を務めたヘンリー・キッシンジャー氏も、レベル5とは判定されなかったという逸話があります。発音が完全ではないからということなのでしょう。

 まったく英語ができない FSI スケール0(ゼロ)のレベルから、上記のレベル5までの中、TOEIC を作る際に ETS では、世界的に考えられる英語学習の完成レベル、つまり「完璧と言えないまでも国際的なビジネス業務を支障なく遂行できるレベル」を TOEIC での最高レベルと定めました。それは、FSI スケールではレベル2+ないし3です。そうしてできあがった TOEIC の英語力測定範囲は、上限がレベル3ないし3+あたりとなったわけです。

 ですから、TOEIC の最高点である 990 点は、Native Speakerと同レベルというわけではないのです。また、930 点以上は正確には判別できないとも言われています。つまり、930 点も 990 点も、あるいは同レベルの英語力かも知れないわけです。ましてや、985 点と 990 点を比較して、「990 点のほうが英語力がある」などとは、とても言えません。

 上の表の左に見えている A~E は、下に示した TOEIC のスコア別による英語力の目安です。これに、TOEIC の評価ガイドラインの A~E を当てはめて見ると、ずいぶん下のほうになってしまうんですね。つまり、TOEICの「レベルA」は FSI スケールでは「3」と「3+」のあいだくらいですね。

 つまり、TOEICでは、ことさら高度な英語能力を測定しようとはしていないというわけなのです。 ですから、もしあなたが TOEIC スコア600点から700点あたりを推移していて、990点の満点を持っている人が現れたとしても、そんなに恐れるにはあたらないということなのです。

 もちろん、990点の人には、ネイティブ・スピーカーレベルの人もいるでしょう。ですが、FSI スケールでレベル2+の人も990点かもしれないのです。

 上の FSI スケールでは、0~5の11段階のレベルの定義の簡素版が出ていますが、下の冊子では、レベル3の詳しい定義を掲載しています。
 また、TOEIC に関係するいろいろな情報も満載です。

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