カリフォルニアの青い空 ― 40.今でも後悔しているゴルフのこと

 前回の記事で、自宅にゴルフ場がある大豪邸のことを書いた。

 ゴルフのことでは、私が未だに後悔していることがある。

 多くのセレブは、gated communityと呼ばれる、数十軒の家がフェンスで囲まれ、ガードマンが常駐しているゲートを通って出入りする住居区域に住んでいる。

 その gated community の1つに住んでいた人の奥さんが日本人だった。ご主人は昔大きな病院の経営をしており、その時はすでに引退して悠々自適の生活をしていた。
 日曜日など、その家に呼ばれてよく遊びに行った。
 昼食をいただいたり、プールサイドでジンライムを作って飲んだり。庭にライムの木があり、そこから実を採ってきてジンライムを作る。

 この gated community の中にフォード前大統領が住み始めた。1976年11月の大統領選でカーター大統領に敗戦して引退し、南カリフォルニアの、このセレブが住む町に居を構えたのだった。

 フォード前大統領が住み始めた家が、上で述べた奥さんが日本人という人の4軒ほど近所だったらしい。そして、いっしょにゴルフをする仲になったのだという。

 ある日曜日、昼ごろに目覚めて何も用事がなかったため、この家に電話をしてみると「いらっしゃいよ」と言われた。私のアパートからは車で20分ほどである。

 行ってみると、ご主人が来て「どうして今朝電話をしてこなかったのだ」と訊かれた。

 彼が言うには「今朝、Mr. Ford と急遽ゴルフをする話になり、メンバーを探したけど、急なことで誰もいっしょにプレーする人が見つからなかった。それで、仕方なしに、二人だけでハーフを回って帰ってきたんだ。君が今朝電話をくれていれば、3人で回れたのに」と。

 なんと、私は前大統領とゴルフができる恩恵をみすみす逃してしまったのだった。今でもときどき「惜しいことをした」と思い出す。

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