情けは人の為ならず

 20年以上も前のことになるが、会社でアルバイトを募集した。

 めぼしい人たちの面接をほぼ終わり、ある人に決めようと思っていた矢先、「まだ面接できますか」という電話がかかってきた。

 電話で話していて雰囲気がよかったので、「じゃ、面接に来てください」と言ったら、その夕方やって来た。
 
 会って話していると、すごくさわやかな青年だったので、先に決めようと思っていた人をやめて、彼に決めた。
 
 彼が勤め始めて2週間ほど経ったころの夕方、オフィスでちょっと飲みながら、彼もアメリカの大学を出ていたので、私のアメリカ時代のことを話したりしていたところ、彼が「伯母がアメリカに住んでいるんですよ」と言う。
 
 で、話していると、彼の伯母さんという人は、私が住んでいた町に住んでいることが分かった。伯母さんは裕福なユダヤ人の家に住み込み、家政婦さんをしていると言う。
 
 私が「僕がアメリカにいたときに知り合った人に、そんな人がいたよ」と言いながら話をしていると、どうも、彼の伯母さんという人は、私の知っている女性だと思い、「もしかしてあなたの伯母さんってタカコさんじゃない?」と言うと、「そうです」と。
 タカコさんは、彼のお父さんのお姉さんだった。
 
 その日、家に帰ってから、彼はアメリカにいる伯母さんに電話をしたそうだ。するとタカコさんは「よかった、タクヤさんがアメリカにいるときにいじめなくて」と言ったとか。
 
 私も「アメリカにいるときに悪いことをしなくてよかった」と思ったものだ。

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